パッと目立つのではなく、周囲との協調性を大切に、礼儀と常識をわきまえ、人にも動物にも丁寧に優しく接することができる方。

生まれた家が動物病院でしたので、自然と小さいころから犬や猫とともに育ちました。高校2年生の春に、まだ目の明かない小さな姉妹の赤トラの子猫を保護し、夜中も哺乳瓶でミルクを与えて育てました。その後は美しい猫たちに育ってくれて、楽しい時を過ごさせてもらいました。しかし、獣医師になってしばらく経ったところで、特にかわいがっていた姉猫が、悪性リンパ腫にかかってしまい、抗がん剤治療の甲斐もなく、病気の発見からわずか3か月で他界してしまったことは、いまだに心の中の痛みとして残っています。獣医師でありながら、自分の猫だとまったく冷静に考えることは不可能でした。そんな経験を踏まえて、不安と心配で頭のなかが真っ白になっている飼い主さまのお話は、全力で傾聴させていただき、少しでも冷静に今後の方針を立てていくことができるように、お手伝いさせていただきながら、毎日の診療にあたっています。

昨年の夏に保護されて、我が家の一員になった赤トラ猫の”梅”